1. UnderstandingTTP
  2. TTPについて
  3. TTPとは

TTPとは

血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は血液の希少疾患です1)

血栓性血小板減少性紫斑病(けっせんせい・けっしょうばんげんしょうせい・しはんびょう)、略してTTPは、全身の血管に小さな血栓ができる非常にまれな病気です。血栓によって細い血管が詰まり心臓、脳、腎臓などに重い臓器障害をきたす恐れがあるため、できるだけ早く治療を開始することが必要とされます。またTTPは、症状が再発する可能性があり長期にわたる療養が必要な場合もあることから、国から医療費助成が受けられる指定難病として認められています。

正常な血流

正常な血流イメージイラスト

VWF:フォン・ヴィレブランド因子

血管は、血液を全身に運ぶ管です。血管内で血小板などの血液細胞が互いにくっついて血の塊となったものは血栓と呼ばれます。
通常、血小板は血液中に浮遊していますが、出血を止めるために必要な場合にのみ、血栓を形成するように働きます。

TTPでは血栓により血流が妨げられる

TTPでは、必要がないにもかかわらず、血小板が血栓を形成してしまいます。そのため、血管内にたくさんの血栓ができ、血液が全身に流れにくくなります。
また、たくさんの血栓ができることで、血小板が不足したり、赤血球が壊れたりすることも起こります。

TTPで起こりうる問題

TTPによる血栓のせいで血液が正常に流れることができなくなると、体に様々な問題が起こります。

  • 体の表面で出血が起こる(手足の皮膚にあざや斑点があらわれる)
  • 血液中の血小板が不足し、体が本当に必要とするときに血栓をつくれない(出血が止まりにくい)
  • 酸素を運ぶ赤血球が壊れる(貧血が起こる)
  • 様々な臓器が障害される(心筋梗塞、脳卒中、けいれん発作などの重い症状も起こりうる)

「血栓性血小板減少性紫斑病」という言葉を分解してみましょう

TTPの血栓性血小板減少性紫斑病という病名をよく見てみると、TTPで起きていることがわかります。

血栓性イメージイラスト
血栓性(けっせんせい)
血管内で血栓が形成されるという意味です。
血小板減少性イメージイラスト
血小板減少性(けっしょうばん げんしょうせい)
血小板の数が正常より少なくなるという意味です。血小板の減少は、血管内で血小板が互いにくっついて血栓に使われてしまうことで起こります。
紫斑病イメージイラスト
紫斑病(しはんびょう)
紫斑は、手足などの体の表面の出血により生じる紫色のあざのことです。紫斑はTTPの主な症状です。

つまり、血栓性血小板減少性紫斑病は、何らかの原因で、血管内に血栓ができることを意味します。この血栓が、血液中の血小板の減少や紫斑などの主なTTP症状を引き起こしています。


TTPの原因1)2)

TTPには、後天性と先天性の2つのタイプがあります。後天性TTPは、免疫系の異常が原因で発症します。先天性TTPは、両親から引き継いだ遺伝子の異常が原因で発症します。どちらのタイプのTTPでも、血液中のADAMTS13(あだむてぃーえすじゅうさん)と呼ばれる酵素の働き(活性)が低下します。血栓ができないように働くADAMTS13の活性が低下することで、TTPでは血小板の血栓がたくさんできてしまうのです。

用語

  • 免疫系:細菌やウイルスなどの外敵と戦い排除するための体の防御システムです。
  • ADAMTS13:フォン・ヴィレブランド因子(VWF)を切断する酵素です。TTPでは血液中のADAMTS13の働きが低下することによって、VWFの機能が強くなり、通常より血栓が形成されやすくなります。
  • VWF:血を固めるときに必要な血液中の因子で、その機能が弱くなると血が固まらず出血傾向となります。逆にVWFの機能が強くなると血栓が形成されます。

後天性TTPと先天性TTP

後天性TTP2)-5)

(免疫介在性TTP)
原因
免疫系の異常によりADAMTS13が攻撃され、ADAMTS13活性が低下する
発症年齢
主に成人期、まれに小児期
特徴
最も多いTTP(95%以上が後天性)
大きな病気をしたことがない健康成人に突然発症することが多い。
発症後、速やかに治療を開始しないと血栓などにより命を脅かす恐れがある。

先天性TTP3)6)7)

(遺伝性または家族性TTP 、Upshaw-Schulman症候群)
原因
ADAMTS13遺伝子の異常により、ADAMTS13活性が低下する
発症年齢
主に新生児期~小児期、まれに成人期
特徴
まれなTTP
生後間もなく貧血や血小板減少があらわれることで診断されることがある。
小児期から成人期に感染症や妊娠をきっかけに症状があらわれて診断されることもある。

TTPの発症誘因1)8)-10)

後天性TTPがなぜ成人になってから発症するのかは十分に解明されていません。また、後天性TTPがどのような人に発症するのか明らかではありませんが、免疫系に起きた変化が後天性TTP発症の誘因になると考えられています。 先天性TTPでも、感染症や妊娠をきっかけに症状があらわれることがあります。

TTP発症の誘因となりうる状況

がん、HIV、免疫疾患(全身性エリテマトーデス等)などの病気イメージアイコン

がん、HIV、免疫疾患(全身性エリテマトーデス等)などの病気

特定の治療や薬剤の使用イメージアイコン

特定の治療や薬剤の使用

感染症イメージアイコン

感染症

妊娠イメージアイコン

妊娠

後天性TTPの発症年齢、男女比、患者数

TTPの発症は新生児から80歳以上まで幅広い年齢層でみられます。日本人の後天性TTP患者さんを対象とした調査では、海外の患者さんと比べて、発症年齢が高く、女性の割合が低いことが示されています。女性は30~50歳代、男性は高齢での発症が多い傾向があります11)
国内の患者数は明らかではありませんが、指定難病の医療費助成を受けている中等症以上のTTP患者さん(特定医療費受給者証を持っている人)は2020年度で361人と報告されています12)

国内の後天性TTPの患者像

発症年齢

30~60歳代の発症が多いイメージイラスト

30~60歳代の発症が多い
(海外30~50歳代)

男女比

女性の占める割合は55%イメージイラスト

女性の占める割合は55%
(海外60~100%)

Matsumoto M et al. PLoS One. 2012; 7(3): e33029.

TTPの体内では何が起きているのか、詳しく知る

体内で起こること

後天性TTP疾患発見100周年のあゆみ

後天性TTP疾患発見100周年のあゆみ

非常にまれな病気であるTTPは、1924年に発見されて以降、病気の原因や治療法の解明について長い研究の歴史がありました。現在、TTPに関する国際ガイドラインで推奨されている治療法が確立されるまでの歴史をご紹介しています。

ダウンロード

文献
  1. 1) Joly BS et al. Blood. 2017; 129(21): 2836-2846.
  2. 2) Scully M et al. N Engl J Med. 2019; 380(4): 335-346.
  3. 3) Zheng XL et al. J Thromb Haemost. 2020; 18(10): 2486-2495.
  4. 4) Reese JA et al. Pediatr Blood Cancer. 2013; 60(10): 1676-1682.
  5. 5) Sukumar S et al. J Clin Med. 2021; 10(3): 536.
  6. 6) Congenital thrombotic thrombocytopenic purpura. NIH Genetic and Rare Diseases Information Center website. Updated July 12, 2018. Accessed December 3, 2021. https://rarediseases.info.nih.gov/diseases/9430/congenital-thrombotic-thrombocytopenic-purpura
  7. 7) 厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患政策研究事業)「血液凝固異常症等に関する研究」 班 TTP グループ. 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP )診療ガイド 2020.
  8. 8) Tsai H-M. Int J Hematol. 2010; 91(1): 1-19.
  9. 9) Goel R et al. Transfusion. 2016; 56(6): 1451-1458.
  10. 10) Stylianou K et al. Cases J. 2009; 2: 6611.
  11. 11) Matsumoto M et al. PLoS One. 2012; 7(3): e33029.
  12. 12) 令和2年度末現在 特定医療費(指定難病)受給者証所持者数,年齢階級・対象疾患別. 厚生労働省 令和2年度衛生行政報告例(令和2年度末現在)

MAT-JP-2201210-5.0-06/2024 最終更新日:2024年6月28日